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夏の一泊旅 (Fossil Trail)

この夏は雨が多い。

お天道様頼りのプリント制作も中断続きである。

相方とは、天気が回復したら、去年見つけて何度か訪れた宿にまた行こう、と話していた。

空がうっすらと晴れの気配を見せた平日の朝。

予報を見ると翌日までは天気がもちそうだ。

では、とその夜の一室を取り、支度をして家を出た。

 

その宿のことは去年記事にした。ペンシルベニア地域の田舎風を打ち出しており、併設レストランの夜の食事、そして朝食が共に素晴らしいのだ。エリアと食べ物については過去記事に譲る。

 今見返すと、この時は部屋のことを書いてなかった。

敷地は広く、かつては誰か(忘れた)の屋敷だった母屋の2階、それに木立の斜面に沿うように転々と置かれたキャビンが宿泊室である。初回は母屋に泊まった。美しい壁紙にアンティークの家具が良く調和した素敵な部屋だったが、森を楽しみたいのでそれ以降はキャビンにしている。

 

 母屋のコーヒールームに飾られてた食器たち。銀器には1776年と刻まれている。当時の家主のものか。

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母屋の内装を撮っていなかった。次の機会にでも。

 

 

キャビン室は広く、田舎風のしつらえ。窓の向こうは森景色。

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かけられた素朴な絵は恐らく伝統的な保存食品や刺繍じゃないかな。

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過去記事にひとつひとつを書いたが、宿の夕食は、酢漬け甘酢漬けの種類が本当に多くて、美味しいんである。いつも地元の人で混んでいてなかなか写真を撮る機会がないが、いつか。

 

 

一晩寝ると、気分がすっきりとした。

 朝、テラスに出る。ひやりと冷たい森の気に包まれる。

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朝の森の匂いが何より好きだ。

 

楽しみにしていた朝ごはんはゆっくりと堪能して、

 早めにチェックアウトし、前回より遠くの滝に行く目論見だった。

ところが行ってみれば目当ての2箇所ともに閉鎖されており、そこからほど近いインフォメーションセンターへ。聞くとストーム被害だった。

 

それでは、とその裏手のトレイルを歩くことに。

まず、景色の良いとされる3.2kmのループ状トレイルへ。

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たとえ近くの森同士でも、森ごとに異なる個性があることを噛みしめる。

ここの森には細い幹の繊細な木々が多く、フェミニンな気配を感じる。

 

 途中、浅瀬に遭遇。

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宿の水道水も冷たくて、とても美味しい。宿のパンが美味しいのはこの水のせいもあるのかも。

 

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 名を知らない赤い花が一輪咲いていた。

 

 

美しい朽木。

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空中都市のようだ。ニューメキシコのAcoma Sky Cityを思い出す。

 

 

 勾配も穏やかで1時間ほどで歩き終え、もうひとつ、道すがらに入り口を見たFossil Trailを歩くことにした。

 

化石の道、である。片道のトレイルで、終点近くで化石が見られるそうである。

このエリアは3億年前の土地の隆起で形成されたらしいので、どんなかたちで化石を見られるのか、断層に露出しているんだろうか、それとも巨大な岩盤だろうか、期待に胸が膨らむ。

 

入り口を入って少し進むとすぐに道が険しくなった。

途中からはぐねぐね急勾配の下りが続き、虫を払いつつ足元注意で写真を撮るゆとりがなかった。

空模様も怪しくなってきた。天気の変わりやすい場所なので、急ぐに越したことはない。

ピッチを早め、虫を払いながらずんずん進む。

 

30分ほどで、ついに、小川の岸に降り立ち、遠くのオープンスペースにそれを示しているらしき立て札が見え始めた。

 

しかし、期待していた地層も岩盤も、どこにもない。

 あるのはこのような立て札とサインのみ。

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 近づいてみる。

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台の上には石塊。

 

 もしや、これらが化石なのか?

 

よく見てみる。

 

おお。

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拡大する。

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青石の上には蜻蛉の腹らしきものが。

 

そして、

 

 

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綺麗なプリーツ。

 

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 こちらにも、長細いプリーツ。

 

横の立て札を見てみる。

色は剥げ落ち原型をとどめていない様子だが、良い味を出しているではないか。

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なるほど、あの綺麗なプリーツは貝だったわけね。

とすると、青石の上の蜻蛉の腹らしきものは三葉虫の背の節か?

 

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このドーナツ型やブツブツ穴の生き物たちはいったいなんだろう?

字は消えかかって読めない。

 

 

情報はこれで全て。

なんとも呆気ない結末だった。

この無造作ぶりに笑ってしまった。

 

台の上の石の山なんて、たぶん、いくら持ち帰ってもなんの問題もないだろう。

少なくなったら、その辺から掘り起こしてひょいと載せてるんじゃないか。

一瞬魔が差したが、化石への敬意からそれはやらない。

 

 

しかしまあ。

このおおらかさに、心が満たされた。

来てよかった。

 

来た道を今度は登り続け、車に乗る。

昼はだいぶん過ぎていたが周辺に適当な店がなく、腹ペコのまま街道沿いに見つけたダイナーの駐車場に車を入れた。

 

店名は「Jumbo Land Diner」だった。

店内にいる人々の顔付きや雰囲気がタイムスリップしたかのような風情で、二年前にメイン州の山奥の小さな古いダイナーで見かけた人たちを思い出す。

出てきた料理もジャンボだった。