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⇔ Diá ⇔

iPhone写真、アナログ写真、随想、詩作、 覚書き など。

1. しいたけ

 

野菜カレーを作ろうとして、椎茸を切らしていることに気がついた。

 

このカレーは 椎茸なしには作れない。

しめじでも えのきでも 松茸でもなく、椎茸の香りが欠かせないのだ。

私の同居人はこのカレーが大好きで、

喜んで椎茸を買いに行ってくれた。

 

仕込みはほとんど終わっていて、

私はただ、キッチンの窓から ぼんやり外の木々を眺めていた。

 

と、なにやら 頭がむずむずするぞ。

 

虫でも 這っているのだろうか。

頭をばさばさ 振ってみると、

 

髪から 何かが飛び出して 遠くの床にぽとりと落ちた。

見ると、それは とてもとても立派な 一本の椎茸。

 

もう一度、頭を振ると

もう一本、ぽとりと落ちる。

おそるおそる髪の中に 手を入れてみると、

いつの間にかそこは「キノコの山」。

 

今度は思いきり 頭をバサバサ振ってみる。 

ぼとぼとと、そこここに落ちては弾む椎茸達は

握りこぶし大はあろう、肉厚などんこ達。

 

頭皮のむず痒い感じからすると、

どうやら、どんこは まだまだ生え続ける気配。

 

同居人が  帰って来た。

 

彼女は私の頭を見て 一瞬たじろいだけど

すぐに平常心を取り戻し

何事もなかったかのように、普通に話し始めた。

そして 椎茸が盛られたバスケットを差し出した。

 

こちらも器量よしでおいしそうだけど、

私の頭から採れたどんこ達の方が

もっと立派で、芳わしい香りを放っている。

 

しかし

自分の頭から生えてきたシイタケを、食べるべきかどうか。

悩むのであった。