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iPhone写真、アナログ写真、随想、詩作、 覚書き など。

2015年11月の展覧会を振り返って②:展示編

✴︎覚え書き アナログ写真 analog photography

前回は開始までの準備の流れを書き留めた。

 

354x5andwords.hatenablog.com

 

さて、展示が始まった。

会場は通りがかりにふらりと入れるようなロケーションではなく、案内状が基本となる。

人の出入りには不思議な偏りがある。集中する日、時間帯、そして人々のタイプ。展示期間を通して、それらが見事な波形を描いた。

 

さて、今回は展示についての覚書き。

会場は主に陶器を主体に「モノ」展示をしてきた空間だ。

白い塗り壁、軽快な色味の自然木で作られたペーパーナイフのようなカーブを描くウォールシェルフ、壁の高い位置で斜め上に向いて切られた横長の窓のボリュームが相俟って、ナチュラルで穏やか、ふわりと広がるようでいて、しかし計算し尽くされた空間の持ついくらかの緊張感を漂わせて引き締まり、モダンな印象である。制作者とじっくり語り合える空間を、というオーナーの趣旨により、「ホワイトボックス」ではなく、ソファーで寛いでもらうことを前提にしている。手に取って鑑賞してもらう作品も振り分けた。


空間展示で目論んだのは、

目に自然であること、展示空間に森の「モノノケ」を漂わせること、遊んでもらうこと=発見の喜び、の3つであった。順に記す。

 

 

1「目に自然」


 f:id:pyopyopyon:20151214051900j:image

どこに何を組み合わせて置くか。最優先は全体の感じ、緩急の変化と心地よさ。うまくいったと思う。

自然の中で物を見る状態に近づけたかった。見上げて撮ったものは棚上段に。地面を撮ったものなどは低い位置に低い台を置いて寝かせ置きとして、アクリルボックスを上から被せた。直に見たければパカッとこれを取る。昆虫標本に近いものがある。安物アクリルボックスから苦肉の策で生まれたアイデアだったが、玄人向けビッグヒットだった。

 

 

 

 

2「モノノケを漂わせる」には、言葉を使った。

 

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作品に関連する散文詩を不規則に散らし、イメージと言葉が違う場所で重なったりふわふわ交差してくれることを期待した。こちらは面白い結果を得た。すなわち、写真のみに関心を示す人、むしろ言葉に関心を集中させる人におおよそ分かれ、思惑通りに感じてくれたのはクリエイティブディレクターなど、イメージと書き言葉のバランスを生業とする人達であった。あとは常磐津の会の方々。

今回は半透明のトレーシングペーパーに散文詩を印刷したのであるが、資金ができた時には内容にあった素材・・・木材やガラス、石などにプリントしたらどうかと思っているものである。イメージと言葉とボディの関わり合いはこれから掘り下げて良いテーマのように思った。

 

 

 

3 「遊んでもらう / 発見の喜び」には、虫眼鏡を使った。


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以前に作品を見せた時、「老眼が始まって見えにくい」と言う方がいたことがきっかけ。アルビューメンプリントは引き伸ばしができないので、ネガのサイズがイメージサイズとなる。

どうしようもないのだが、これを魅力であると考えた。私は4x5(約10cmx12.5cm)フィルムネガを直接焼き付けているので、デジタルで作ったネガとは違い、覗き込み、見入るほどに明らかになるディティールの世界を保っている。これは自然の姿ではないか。虫眼鏡で宝探しをしてもらうのだ。葉脈や虫食い葉、葉陰に虫を見るかも知れない。ノベルティー用のオモチャ品質であるが、遊ぶには十分だ。インチとセンチのメモリ付き。注文の際に即席で手書きロゴを作ったが、まだウェブサイトがなかったのでアドレスを入れられなかった。来た人に、記念に持って帰ってもらった。

これから、本格的な拡大鏡を展示に取り入れても良いと思った。

 

出版業界の人が面白いことを言った。サイズについて抜き出す。

「紙の上のイメージにおいて、日頃馴染んできた『サイズ/情報量』の関係をひっくり返された。これだけの凝縮物を日常的に目にすることはない。目が戸惑い、感覚を処理しきれていない」。

 

彼からは「遠いようで近いような(遠近感)、昔のようで今のような(時間)、遠い地のようで身近な景色のような(距離感)、全ての日常感覚が狂って、何が一番インパクトを及ぼしているのか、今はまだ分からない。」とのコメントをもらい、興味深かった。

 

 

 

今回、写真展示という観点からは、置きしか許されないという非従来的でチャレンジングな空間だったが、これが面白い展示を生んだ。

見ているうちにどんどん変えたりもした。

展示は生き物。環境や時間で変化すべき、というのを今回思った。

ただし、作品のプロテクト方法を優先的に熟考した上で、ということも実感した。