⇔ Diá ⇔

iPhone写真、アナログ写真、随想、詩作、 覚書き など。

09 12- 09 15 2017, 越前で紙探し

日本から戻って数日が経つ。とりあえず旅の報告を。

 

目的だった印画紙を作るための刷毛の購入、越前と徳島での和紙の購入、裏打ちを学ぶ、は無事に果たすことができた。

 

越前は初訪問だった。

越前出身の大阪の友人に紙問屋のY氏を紹介してもらい、会うことだけが決まっていた。

あとは歩けば何かに出くわすであろうと特に計画も無かったが、出発日の朝に昨年末知り合った地元のデザイナーAさんから連絡を貰い、翌朝、素敵な紙漉き工房の見学に行けることになった。

 

さらに地元テレビ局の取材を受けることになった。

同行して下さった記者(ディレクター)は仕事上越前和紙の関係者全てを知っており、次々と必要な方に繋いでくれ、今となっては感謝の念は尽きることがない。

ずっと訪れたかった地の人々に制作活動の一端を見て頂けたことが、とても嬉しい。

・・・のだが、良かれと思ってして下さったことに対して怒ってしまったし周囲の方に迷惑もかけたように思う。申し訳ない気持ちである。

 

 

 

 さてそんな越前での第一日目。

朝9時半にAさんが迎えに来てくれ、紙漉き工房見学の前に紙の女神を祀る大滝神社に連れて行ってくれた。

 

ぎゅっと引き締まった美しい建物に圧倒された。

f:id:pyopyopyon:20171002010833j:image

拝殿と本殿が一体となっている。

複雑かつ肉感的で優美な、うっすらと苔に覆われた屋根。複数の様式が組み合わされた珍しい形だそうだ。

 

 

いたるところに施された細かな彫刻にも見飽きることがない。

f:id:pyopyopyon:20171002011245j:image

 

 

境内の木も岩も土も多様な苔に覆われている。

 f:id:pyopyopyon:20171002011510j:image

 カモシカも住んでいるとのこと。

綴れ織の道を山中に数十分踏み入ると奥の院があるということだが、時間の都合で行くことができなかった。

毎年5月3ー5日に行われるというお祭りには、その奥の院から神輿で御神体が担ぎ出され、最終日の夜、真っ暗闇の中、神輿の担ぎ手達によって奥の院に戻される。一度ぜひ見てみたいなぁ。

 

 

 

その後、Aさんが手配してくれた紙漉き工房「やなせ和紙」さんの見学へ。

Aさんもやなせさんの紙漉き場の写真を見て、一度訪れてみたかった、とのことだ。

折しも大判の紙漉きの時間であった。高い位置の横並びの窓から落ちる打ち沈んだような朝光の中、二人の漉き手の呼吸に合わせて淡いベージュの液体が動き輝く。水音のリズムは波の音に似ている。少しだけ、WEBサイトにその光景の写真があった。

http://washicco.jp

 

忙しい時間なので邪魔にならないように見るつもりだったが、柳瀬さんが丁寧にツアーをしてくださった。

 

雁皮紙の材料となる、雁皮の樹皮を干したもの。

f:id:pyopyopyon:20171002012833j:image

触ると国産のものは輸入品より木目が細かくすべすべとしている。

鼻先に近づけるととても良い匂いがする。聞くとジンチョウゲ科とのこと。

うわー。

資料としてのいかにも古そうな展示品には触れたことがあったけど、触感も匂いも全く違う。

これを煮て柔らかくして、細かなチリを一つ一つ取り除き、細かく解す。漉く際には繊維を水に均等に散らせるため「とろろあおい」というオクラの仲間である植物の根に含まれる粘液を混ぜる。

 

その、とろろあおいの根を砕いたもの。

f:id:pyopyopyon:20171002021202j:image

英名はsunset hibiscus。花はハイビスカスに似ている。

根から取った粘液は紙漉きでは「ネリ」と呼ばれる。蕎麦の繋ぎとしても使われるそう。

 

腐りやすく熱で粘度が低下するので、気温に注意を要する。

濾したらこんな風。

f:id:pyopyopyon:20171002021651j:image

とろりと美しい。

 

 

柳瀬さんのお人柄が柔和でなんとも味わいがあり、働く人々のお顔が良くて、ついつい長居しそうになる。

 

実際、長居をしてしまったようだ。

アルビュメンプリントの話をすると、とても好奇心を持って下さったようだったけど、この日はお別れを告げる。

 

そしてAさんが考えてくれていたお店でランチ。お寿司屋さんが4月に始めたばかりのお店で女性客で混雑していた。竹林を含む景色もよくて、インテリアは広くて綺麗で料理が美味しい。

 

Aさんはその後仕事。ディレクター氏が私が探している和紙漉き職人さんの見当をつけて下さり、訪ねるとビンゴ。早速欲しかった紙を一つ、購入することができた。

そして作品をお見せすると、感慨深そうにじっくりと見てくださった。

紙を漉いて問屋さんに渡した後は自分の漉いた紙がどこに行ってどう使われているか知ることがないということなのである。

こうして使い手の方と会うとやる気が出る、本当に有難うと感謝されて胸がいっぱいになった。

 

 

もう一つ探していた紙漉き場の社長にも流れで会うことになり、紙の在庫も確認できた。

その後休日を使って同行してくださったカメラマンさんが、いくつかの場所に連れて行ってくださった。

初日だが、もう十分すぎるくらいだった。