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越前へ紙探し③ 最終日:再会の日

越前滞在、最終日。

この日も晴れだった。

1日目:

 

2日目: 

 

 

デザイナーAさんと11:30に会うことになった。

その前に、時間がある。

 

9時にホテルをチェックアウトし、フロントに荷物を預けてタクシーで「越前和紙の里」の「紙の文化博物館」に向かう。

 

ここに展示されている「産地を代表する和紙125点」の実物が見たかった。

手漉き、機械漉き、奉書紙、画仙紙、壇紙、襖紙、それぞれの種類の多さと品質に圧倒される。

また打雲、飛雲、墨流しなどは平安時代から続く彩色技法だそうだが、液体の偶然の形と色付き具合が活き活きとしていて見飽きない。

 

「越前で漉けない紙は無い」と言われる。

古来より最高の技術を持つエキスパート集団として、新しい要求を受けては新しい技術を生み出してきた。どれも品質が高いだけに、「越前和紙とは何か?」と言われた時に何か特定の和紙を押し出すことができない難しさを、今回見聞きした中で感じた。

 

あまり時間は無いが、資料室の書棚から和紙辞典を取り出す。

「古参(くじん)紙」というのが目に留まる。クララという毒性の強い植物を原料に漉いた紙で、江戸時代までは徳島で漉かれていたらしい。

またパラパラとやる。

古代には、今では和紙の主原料で知られる楮で布を織り、衣類にされたりその白さから神事にも使われていたともある。あとで調べると、この楮で漉いた太布は今では徳島の木頭村だけで織られているとのこと。

また片方で、古代には麻(大麻)で漉いた紙も多かったらしい。

同じ植物が紙になったり布になったりしているのが面白い。

きっと布も紙も身近にある植物を使って試しての結果得られた形成物であり、兄弟姉妹のような関係なのだ。全く目から鱗が落ちた思いだった。

 

 

地図を頼りに古い町並みを15分ほど歩き、1日目に訪れたやなせ製紙さんへ。

作品をお見せする約束をしてあった。

大きな作業台を綺麗に吹いてくださる。作品を手早く広げると、紙漉き場にいた人たち皆が集まってくれ、小さな展覧会の風情になった。

ああ。やっぱりここの人たちは良いなぁ。

集まると、露天風呂の湯けむりのような、ほんわり温かな気が立ち上っているようだ。

 

撮影、制作、カメラ、様々な質問を受ける。撮るも作るも太陽光一点張り、放し飼いの鶏の卵を使っていることなど、私の下手な説明を面白そうに聞きながら皆さんとても熱心に見てくださる。

 

大きな建物だが、電気が点いていない。

この作業台周辺は、先日に見せていただいた、大判の紙を漉いていた場所よりも陽射しが明るい。

それぞれの工程は適した日光のもとで行われるのだという。

 

また、思った以上に長居をしてしまった。

次回、必ず訪ねることを約束する。

 

プレゼントを頂いた。

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石をモチーフにした和紙の箱。

丸みを帯びた形、ふんわりと光を反す、軽くてカサカサとしたあたたかな手触り。

今もこの箱を見て、柔らかな陽射しと人々と、とろりとした紙漉きの液体を思い出している。

 

 

デザイナーAさんが迎えに来てくれて、去り難き別れ。

蕎麦か魚かと聞かれて魚と答え、お寿司屋さんへ。

外壁に巨大な天狗の面がかかっているのが気になる。天狗はこの地域でポピュラーなのか?

 

彼女とはどうもケミストリーが合うようだ。

話は尽きないが時間が迫る。

Aさんの自宅に移動して瞬時を過ごし、駅でハグして別れ難きを別れ、越前を去る。

 

 

 

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偶然にしては素晴らしすぎるご縁の数々、

気持ち良い秋晴れに恵まれ、越前の人たちの味わいに触れた、夢のような旅となった

本当に ありがとう。