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帰国の記録③ 奈良(県庁食堂、入江泰吉旧邸)

大阪2日目。日中時間があったので、奈良に行くことにした。

時間が限られているので、ずっと行きたかった「志賀直哉旧邸」、そしてその近くの、「奈良県立・入江泰吉写真美術館」に焦点を絞る。

 

ところが急遽、思いがけずに魅力的な同伴者を得て、二人同行の楽しい思い出となった。

 

近鉄奈良駅改札での待ち合わせ、初対面だがすぐ分かった。

もの作りの人の、自然の中に住まう人の、凛として力強い佇まい。

思っていたようにカッコ良く、思っていた以上に美しい人だった。

 

早速、用意してくれた観光マップを広げて行程を話し合うのも楽しい。まずはお腹を拵えようと、店を探しつつGoogleマップを開くと、「奈良県庁食堂」が飛び込んで、これは面白そうだと即決定。

 

駅から大通りに出ると、公園にたくさんの鹿。公園からも溢れ出て、我がもの顔で通りを歩いている。

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年老いた鹿。

 

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鹿タッチ!

 

 

奈良県庁は、ロビーが強烈だった。

踏みにじられる青鬼。

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その前の寛ぐ鹿はこの壮絶な像の癒しのためだろうか。

 

それはさておき、県庁舎は、地元のものだろうか、凝った木彫り装飾があちらこちらに嵌め込まれ、内装にも良い木材をふんだんに作った贅沢な作りだった。

そんな贅沢な建物の、美しい木張りのエレベーターで食堂階に向かう。

高層階のカフェテリア形式の食堂は四方がガラス張りで広々としていて、

眺望が素晴らしい。奥には五重の塔が聳えている。

昼より早い時間だったので地元のお年寄りが多い。

地元を感じる眺望食堂。

これは楽しい。

 

赤魚の煮付け定食。小鉢2つを追加。

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今見るとご飯の位置が変だ。

 

あれやこれやの話は尽きず、気がつくと1時間超過。とにかく、出発しよう。

 

入江泰吉の旧邸の、生垣から見る家の佇まいが良いから、と案内してもらう。

東大寺境内外側の、風情ある小道を歩いてゆく。

 

 

小道のたぬき。

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着いてみれば、内観もできるようになっていた。

靴を脱いで下駄箱へ。荷物も預かってくれて、ゆっくり堪能できた。

 

 

江戸時代に建てられた僧房を買い取って増築をしたというユニークな作りで、玄関には土間がなく、目隠しに衝立が一枚。(部屋の奥側から撮影)

 

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その奥、客間の床の間。

 

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「山色清浄身」by蘇東坡。

意味は「山の姿そのままが清らかな真実(釈尊)の姿である」。

とても心に響く。

以下の詩の一節。

 

渓聲(けいせい)便(すなわ)ち是廣長舌(これこうちょうぜつ)
     山色(さんしょく)豈(あに)清浄身にあらずや
     夜来(やらい)八萬四千偈(げ)
     他日(たじつ)如何ぞ人に挙似(こじ)せん
 
(この詩についての中村元氏の対談。:

 

 

 

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いろは唄か。

 

 

これは部屋の襖の引き手。

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僧房オリジナルのものだそうだ。

江戸時代の、簡素な家の細部にひっそりと宿る細やかな贅沢。堪らない。

 

 

廊下。

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建具の一つ一つに見惚れるばかり。

 

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ガラスを縁どる、飴色の曲線。そこを通して眺める庭木。

 

 

入江さんが趣味を嗜んだ部屋。

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緑に囲われ、眼下には小川が流れている。なんと贅沢な。

 

上級者向けの作りという独特の茶室は、冬場はコタツを持ち込んで家族部屋となっていたというのがなんだか微笑ましい。

 

 

一旦家を出て、石畳を渡って離れの暗室へ。

土壁にタイル貼り。なんという暗室!

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その右手。

今もワークショップ、また入江泰吉写真美術館の館長が使っているとのこと。

羨望。

 

やや急いで志賀直哉旧邸へ向かう。