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帰国の記録 ⑥ 9月29日 徳島、夜の部

この昼の続き:

 

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部屋に戻ると、東京から相方が到着していた。ありがたいことに相方は徳島が大好きで、これから3日間滞在する。

この夜は、初日に行こうと決めていたお気に入りのお店「0番線丸川」へ。徳島駅から2駅目の「二軒屋駅」に接しているから0番線。

 

店は昭和時代の内装をそのままとどめているが、造りがどっしりとしていて、手入れの良さと日々の活気で研かれて、なんとも味わいがある。土間で靴を脱いで下駄箱に入れて、下半分が磨りガラスの飴色の木の引き戸をガラガラと開けて座敷に入る。座敷の一番奥のカウンターの向こうの調理場に懐かしい料理長の顔。

この控えめで気さくな料理長にはなんだかいたずら小僧のような茶目っ気があり、相方も私も好きなのだ。

この人は、素材を扱う抜群の感覚を持っている。

なんでもこの人の手にかかると美味くなるのでは、と思う。店は季節の地魚も豊富で、年中の定番メニューもどれも美味しいのだが、その上に、いつも驚きの隠しメニューを持っている。いや特に隠していないのだが、途中で彼が控えめにアピールしてくれるそれを、聞き逃してはいけないのである。

 

黒板に白墨で書かれたその日の海産物、そして天井から短冊状に下げられた季節の料理から頼んでいく。定番料理も捨てがたい。

 

 

 

アオリイカの作り、もずく酢

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滑らかな張りにとろりと濃厚な味わい。

 

 

・いさきの塩焼き

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いさきは好物。間に合って嬉しい。

皮は香ばしく、ふんわり焼き上げられた身にすだちをさっと絞って。

 

 

・ヨコ(赤身:鮪の稚魚です)。

・種類は忘れたが蒸した地元の海老(食べかけで恐縮)

・好物の帆立。

その下の鰹節に覆われているのは原木椎茸の炭火焼。徳島は椎茸の全国一の産地。酢橘をたくさん絞って。f:id:pyopyopyon:20181027105935j:plain

あと、撮ってないが白身魚の刺身、それとうずら、帆立等、いくつかの串揚げ。滅多に揚げ物は食べないが、ここの串揚げがなぜかとても美味しいのだ。

 

・鳴門鯛の煮付け。煮魚も必ず頼む。

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鯛用の、上品な甘さの煮汁、この煮汁をしっかり吸い込んだ豆腐と若布がまた美味い。

 

 

蒸し栗に栗チップもご厚意で頂いて、だんだんとお腹が膨れてきた。

しかし、料理長が少し遠くからこちらをしっかりと見て、蟹の脚を持って微笑んでいる。このほのかなサインを見逃してはいけない。

 

・脱皮蟹(ソフトシェルクラブ)の唐揚げ

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脱皮したての天然水揚げ渡り蟹の唐揚げ。これは美味い!

ソフトシェルクラブはこちらでも時折食べるが、甘くて香りがよくて、身の張りが違う。

 

 

もう食べられないと思っていたら、料理長が「金目鯛の出汁のラーメンがあるんですよ。」とポツリ。

自信作と確信し、相方が最後の腹を奮い立たせて受けて立つ。

 

運ばれてくると、香りがすこぶるよい。

器の中には少し細めの麺に、濁りのない淡い淡い琥珀色のスープ、その上に細切りネギ。

食べる相方の顔に驚きの表情。「美味い。これは美味い。一口、食べてみたら?」と誘われて、「なら一口」とスープを啜る。

驚いた。天然鯛のお吸い物のように上品、かつ力強くてスッキリ。麺も上品だがしっかりとした歯ごたえ。

私は普段ラーメンを食べないが、するすると入っていく。

気がづくと、料理長は悪戯が成功した子供のような笑顔をしている。

金目鯛の骨は知り合いの漁師に頼んで方々から集めてきた、という。それでも数が取れず、我々の1杯がその日の最後だった。

 

夏には鱧の骨スープのラーメンを出して好評を博したらしい。

常連らしき兄ちゃんが、「鱧ラーメン、ごっつぅ美味かったよ!」と携帯で写真を見せてくれた。

 

満足な足ではないが、満腹。

これで我が身に何が起こっても悔いはない。

 

徳島、ありがとう。相方、ありがとう。