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帰国の記録 ⑨ 「和紙の美」「工藝」閲覧

10月4日 雨、知人の店を訪ねて夕方の便で東京へ、10月5日午後豪雨、午後に知人訪問。

 

 

10月6日 晴れ:「紙の博物館」図書室へ。

予約していた柳宗悦の「和紙の美」と機関紙「工藝」を閲覧しに行く。

王子にある。大塚駅からは路面電車で。

王子公園の中にあり、近くに渋沢栄一の旧邸もある。後で知ったが王子製紙創立者は彼だった。公園では何かの祭り。露店の多国籍ぶりに驚いた。

 

予約は1時。それまで少し時間があり展示を見ることができた。1階は木材パルプを使う西洋紙について。上階では世界の紙の歴史。ガラス越しだが紙布(しふ、紙の糸で織った布)の着物や紙衣(かみこ、紙で作った衣)を見ることできた。

時間が来たので地階の図書室へ。

「工藝」は20冊くらいが薄いグレーの保存箱2つにそのまま入り、和紙の美には透明なカバーが掛けられていた。

まず第1の目的だった「和紙の美」。

表紙は白一色の中央に長細い赤い和紙が貼られて、中にやや小さく黒い字で「和紙の美」と書かれている。なんとも控えめで奥ゆかしい。「柳生村の紙衣紙」とのこと。

そっと開ける。巻頭から十数ページに亘って和紙見本。見開きで1つ、あるいは2つの和紙の見本が貼られている。この実物見本を見たかったのだ。

 

本は以前に読んでいた。

かつて、日本の多くの農村で冬の副業として行われた紙作り。柳宗悦が訪ね歩いて取り上げた和紙は知名度の低いものばかりで、寒村の漉き場の簡素さ、そこから生まれる凛とした佇まいの和紙の描写が印象的であった。名のない個人によって少しづつ少しづつ漉かれた和紙が日本を豊かに巡っていたんだなぁ、と感慨深い。

見本はそんな隠れ名品的な紙と、柳達が制作に携わった実験的な紙を柱にしている。実験的な染め紙は化学染料が多く使われていて、70年の歳月を経て、地のページに色移りしているものがほとんどだった。紙の経年変化が見られるのも良かった。

見本「七」の紙衣紙の朱色の染めが美しかった。たいへん手間をかけたということで、こちらは色移りもしていない。手順:

1 蘇芳、 2 朱、 3 澁、 4 油引き、 5 水洗。

 

見本「十三」は、上質の純三椏紙を撚った糸で織った、繻子風「紙布」で、光沢と手触りの繊細さに驚いた。

 

本文を読む体験は格別だった。

1枚1枚のページは温かな風合いの和紙。端からたっぷりの余白を取って控え目に赤い枠が引かれていて、その中に、黒々とした、上品で控えめな書体の活字の凹みで文が綴られていく。

奥附を見る。印刷は河合勝夫、凸版印刷株式会社、製本者は宮本忠昌、 本文に用いた紙は武州小川産、発行部数200。25円、ということ。

 

雑誌「工藝」は毎号、各地の織物を用いた芹沢銈介によるデザインの装幀が素晴らしい。部数が多いので、装幀を味わってからざっと目を通しつつ記事を拾い読み、走り書きのメモを取る。

3時間ほどで集中が切れた。再訪必須。

読み直し、書き写したい内容を含むのは以下:

28号

44号

59号

72号

104号

 

土産物店で和紙見本帳を2つ求める。

建物入り口には楮、三椏、雁皮など和紙の原料の植物の鉢植えがあったが、見たことのなかったものだけを撮った。

 

流し漉きの「ねり」の原料となるトロロアオイ

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古代紙の材料の一つ、檀(真弓、まゆみ)

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