A red bird
いつも使う貸し暗室を予約した。
猛暑の朝。近くのスタバで時間を潰し、定時にブザーを鳴らした。
反応無し。30分待った。
その間、電話もテキストも返事無し。
埒が開かないのでその日は無かったこととし、暗室の近くの古道具屋に立ち寄った。
ジャンクな首飾りをジャラジャラとかき分けると、弾けるようなレモンカラーが現れた。
赤い鳥と、赤い鳥に向かって放たれたままに止まった矢。
赤い鳥がおどけてみえる。
「光陰矢の如し、だって?ふふ〜ん。俺には矢は刺さらないよん。」と嘲笑っているかのようだ。
時間は飛ばない。流れてもいない。ただそこにあるだけ。
数時間の後に連絡が入った。家主に立ち退きを言い渡され、法廷にいる、という。
暗室が一つづつ、消えていく。
私も暗室難民に逆戻りか。
いや、まだ消えてはいない。
頑張んだよ〜〜。