第一回・裏打ち覚書き
雁皮紙はよく暴れる紙である。
これからの必要を感じて、昨年9月の帰国時に、東京の表装屋で単発の裏打ちワークショップを取った。
他の参加者は明らかに継続者で高度な作業をしており、講師一人が座敷を走り回って面倒を見ている。
iPhoneに動画の容量が無かったので、見せてくれた手さばきをとにかく必死に書き留めて帰ってきた。
・・・そしてそのまま9ヶ月が経ってしまった。
恐る恐る、寄せ集めの道具でやってみたらなんとかなったので、忘れないうちに覚書きをしておく。
使った用具(これに、定規と絵の具筆)
材料:
・生麩のり
・水
・薄紙(作品保護用)
・裏打ち用紙
・作品
道具:(◎はOK、◯は再考)
・糊を煮る鍋 →(耐熱容器でレンジ加熱)◎
・糊を伸ばすトレー → (サラダの空パックを代用)◎
・糊刷毛 →(ペンキブラシ代用)◎
・打ち刷毛(棕櫚等固めの毛) →(固めの塗装ブラシ代用)◎
・撫で刷毛 →無し
・霧吹き(専用は目は細かい) →(廉価品。水垂れが激しいので考える)◯
・表面が平らな台 →(プラスチックのプレースマットで代用)◎
・長い木べら →(長い定規で代用)◎
・乾燥用のベニア板 →(壁付け棚用の棚板)◎
エキストラ
・プラスチックナイフ
・絵の具筆
おおまかな手順:
記事に書き起こそうと思ったが写真にする。足りない部分だけを補足する。(ちなみにこれは現場のメモを今回書き直したもの。
右ページ上は表記ミス:撫で刷毛でなく打ち刷毛
①生麩糊の用意(粉状を水に溶いて加熱)
本来鍋で煮るが、それには分量があまりに少ない(糊3g)ので、4倍の水と共に耐熱容器に入れ、レンジで15秒加熱、混ぜて様子をみてさらに10秒、でうまくいった。
②それを水で伸していく。
(本来(ワークショップ)はこのように木ベラ。)
私は刷毛を直接、プラスチックフォークでしごきつつやった。
・裏打ち用紙にあたりを付ける
本来裏打ち紙は作品サイズに切り落とす。
だが私は今後、切り落とさずに作品の一部とする目論見なので、あらかじめ希望サイズに調えた紙を用意し、作品の大きさに糊を塗るために鉛筆で記しを付けた。
裏打ち用紙の右にセロテープ留めが見えるが、これは紙をひっくり返す時になるべく折らないため。本来は以下のように糊で台に固定して、これを折る。
(本来:ワークショップ)
裏打紙をめくる。
(濡らす前の作品の引きつれ。これをピシッとさせたい)
作品に霧吹きし、皺が伸びるのを待ちつつ、めくった裏打ち紙の、印の内側に刷毛で糊を塗る
(ワークショップ:裏打ち用紙をめくって折って、プラ板上で全体に糊を塗る)
(ワークショップ:木べらを糊のついた裏打ち用紙の端に当てて折り、ひっつけ、持ち上げる。これは講師の御手。)
私は定規で代用した。
ここからいくつかの手順の記載を飛ばすが(上記ノートには記載)、
最後、乾燥のために板に貼る(仮貼り)。
本来ベニア板が使われるが、IKEAで買った壁付け棚用の棚板(普段は作業台としている)とガラス板を代用した。どちらも大丈夫だった。
ただ、紙の厚さや種類で剥がれやすさが違った。
今回裏打ち用紙に使ったのは2種類
・厚手雁皮紙(60g)
・「UDABAN」という名の楮紙(昔こちらで買った。多分障子紙)
数時間で乾く。
だが一晩おくのが良い。
結果。
仮貼り板への貼り方があまかったため、2点、乾燥途中で剥がれてベコベコになり、翌日やり直し。(以下)
作品と裏打ち紙のつきかたは良かったので、ただ軽く全体に霧を吹いて皺を伸ばし、仮貼り用の糊を付け直し、今度はしっかり板に貼り付けた。
結果:
ピンと伸びて、しっかりと張り付いたまま乾き、無理なく台から外すことができた。
仮貼り用の糊は、裏打ち用糊の3倍の濃さを用意するが、今回のはもっと薄かったかも。
長くなったので仕上がりは次回に。