2018ー9月:メイン州の港町と内陸部に人を訪ねて❸ インディアンの水路をカヌーで下る
こちらからの続き
カヌーアドベンチャーの日。
ちょうど乗っている時間帯がサンダーストームという予報が出ていたが、それより早い時間から激しい雨が降りだした。おそらく通り過ぎるだろう、とパッキングと準備を進める。
Bにバスタオルと防水加工のバックパックを借りて、貴重品だけは大きめのジップロックのビニール袋に入れて膨らませておく。もしカヌーが転覆して荷物が沈んでも、水に浮かんで紛失することがないように。
弁当はデリサンドイッチと、近くの有機農場の胡瓜丸ごとと林檎と分厚いバナナブレッド。
幸いにして出発する頃には雨もだいぶんおさまってきた。
昨夜のメンバー3人が車の上にカヌーを載せて到着した。そして後部座席を倒してBのカヌーを突っ込み、そのままロープで固定する。
車体と相俟ってカヌー2艘の平行線が美しかった。
カヌーを浮かべるのはオールドサコリバーという、インディアンの重要水路だった古い川筋。Kezer池という、直径1.6kmほどの巨大な池に出て、そのまま対岸まで渡ってビーチでピクニックをすることになっている。
河岸に到着すると周囲がテキパキと準備を始めたが、
私は裸足になってハイキングブーツを仕舞い、カーゴパンツの裾を腿までまくってライフベストを着用した後はすることもなく、ただその手際を眺めていた。
6人が2艘に分かれて乗り込んだ途端に雨がまた降り始め、雨中の出航となった。
しかし、晴れよりも楽しいかも知れない。
河岸を縁取る森はしっとりと濡れて、その美しさは眺め飽きないし、水面に雨粒が落ちると、小さな泡を作ってそれはしばらく消えないので、水面にたくさんの水玉模様がプカプカ浮かんでいるのである。
カヌー、カヤックを漕ぐのは得意と自負しているが、オールが2つだったので私は真ん中に座っていた。だから余計に景色を堪能できた。
時々舟を近づけて飲み物を飲んで休みながらののどかな旅である。
池に出る頃には雨はすっかり止んで、雲たちが空をほどよく覆って、見た目も楽しい日傘になってくれた。
ビーチに到着。心地よい風が吹き渡る。
Cが、大きなクーラーから多種飲み物、チーズやディップや色んなつまみを取り出してランチパーティー開始。
水は透明でどこまでも浅い。
たっぷり楽しんで、帰り支度。
雨、曇り、晴れで多彩な表情を見せてくれた池と川に別れを告げる。
この辺にはターキーの大ファミリーが住んでいる。前日見かけたが、同じ場所でふたたび見かけた。
Bの家でBのカヌーを下ろし、次にRとJが最近購入したという丘に、夕陽を眺めに向かう。
丘一面で野花が夏の終わりの盛りを迎えていた。
花びら状の葉の重なりの間から長い茎を伸ばして黄色い花を咲かせる植物がとっても気になった。
RとJには申し訳ないが、建物を建てるのがもったいない土地だと思ってしまった。